タイの経済成長は、過去数十年にわたり、急速かつ安定したペースで発展してきました。日本の成長率に比べたら成長率はよく見えますね。では、ASEAN諸国と比較した場合、タイはどのような立ち位置にいるのでしょうか。今回のブログでは、経済産業省の報告をもとに、タイの経済について書いていこうと思います。
2022年度のタイの経済成長を、GDPの数字で見てみましょう。CEICによると、2022年度、タイは2.6%の成長を遂げました。日本が同年1.2%だったことを見ると、2倍以上の割合で成長をしています。では、ASEAN諸国と比べるとどうでしょうか。ASEAN諸国の中で高成長を遂げたのは、マレーシアとベトナムです。順に8.7%と8.0%の成長率でした。ASEAN諸国と比較してみると、伸びが悪いようにも見えます。しかし、一人当たりのGDPを見てみると、タイの経済は多諸国に比べ成熟度合いが高いと言えます。一人当たりのGDPはベトナムが3,712ドルなのに比べ、タイは7,232ドルです。ASEAN諸国ではシンガポール(72,795ドル)とマレーシア(11,408ドル)の次に、タイのGDPは高いと示されています。
それでは、タイの経済はどんな産業に支えられているのでしょうか。CEICの調べによると、下記の産業でタイの経済は構成されているようです。(上位8産業を選ばせていただきました。)
1. 製造業 (27%)
2.卸売り小売り (16.7%)
3.農林水産業 (8.5%)
4.金融・保険 (8.3%)
5.公共・防衛 (6.5%)
6.教育 (6.6%)
7.運輸・倉庫 (4.6%)8.宿泊・飲食 (3.2%)
上位3つの産業について詳しく見ていきましょう。
1.製造業:自動車、電子機器、繊維、食品、医薬品、プラスチック製品、家庭用電化製品など、多くの業界で展開されています。実際、バンコク周辺には工業団地がいくつもあり、日系企業が多く進出しています。最近では中国の自動車産業が工業団地に多く進出しているようで、タイの経済は多くの外資系製造会社に支えられていると言えますね。
2.卸売り小売り業:タイでは観光業が歳入の大半を占めていて、特に中国からの観光客の経済活動が大きく影響しています。タイに観光客として訪れる人々は、中国、マレーシア、インド、韓国、ラオス、日本が全体の60%を占めているそうです。
タイに住んでいる人々の日常の食品や日用品の消費に加え、観光客がお土産や転売を目的として化粧品や洋服、ハーブなど様々なものを購入しているそうです。
3.農林水産業: タイでは熱帯気候を利用して二期作・三期作が行われ、コメの輸出がさかんに行われています。1960年代から、国の指導の下、天然ゴム、トウモロコシ、キャッサバの生産が増加し、作物の多角化が進んだそうです。主要作物としては、さとうきび、コメ、キャッサバ、オイルパーム、とうもろこし、果実(パイナップル、バナナ、マンゴー等)があります。日本には主に鶏肉調製品や鶏肉、ペットフードを輸出しているようです。
今回タイの経済について調べた私の個人的な感想を述べさせていただきます。タイ経済は、外国からの企業の経済活動に大部分を頼っているという点が印象的でした。製造業や卸売小売業が全体の半数弱を占めていることから、この印象を持ちました。
一つ勉強になった点があります。それは、タイの経済は観光業がそこまで多くの割合を占めていないということです。タイといえば、「観光」というイメージが強くあったため、宿泊、飲食業界が占める割合がそこまで高くない事実に驚きました。
また、タイはASEAN諸国と比べると経済的に成熟しているというイメージがあります。実際に数字を出して比較してみると、GDPはシンガポールの10分の1ではあるものの、ベトナムやインドネシア、フィリピンと比べると2倍以上の差をつけています。このことから、タイはASEAN諸国内では経済大国と呼べるのではないでしょうか。
以上、タイの経済についてのご紹介でした。